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わたしといっしょにうたおうよ!④

ผู้เขียน: みなはら つかさ
last update วันที่เผยแพร่: 2026-07-16 18:11:49

 どのぐらい当てもなく歩いただろうか。気付けば隣町の公園に来ていた。公園と言っても、あの街の公園とは違って狭く、バスケットのゴールが風に揺れている。人気《ひとけ》はまったくない。木馬とブランコが目に入る。寒い。会場の熱気が嘘のように、体の芯から震えた。

 少し佇んでいると、歌が聞こえてきた。思わず耳がぴくりと反応する。私は、誘われるように、声のする方へと足を向けた。

 声の主は、四人の猫たちだった。ジャングルジムの上で、アカペラを熱唱している。

『歌を歌おうよ あの空に響かせようよ 空はどこまでもつながっているから』

 私は四人の歌に聴き入った。なんて楽しそうに歌うんだろう。思えば私は、まりあさんに褒められたことを喜んでも、歌うことそれ自体を楽しんだことはなかった気がする。歌を聞いていたら、自然と涙が零れてきた。

「ねえ、どうしたの?」

 四人組の一人、髪の短い娘《こ》が、私の異変に気付いて声をかけてきた。いつの間にか、目の前まで近寄っていたらしい。

「あ、うん……。ちょっと色々あって」

 私は涙を拭った。

「そっか。私はユキ。よろしくね。で、こっちがサツキ、クミ、ユカリ」

 ジムから飛び降りて、順にロングで眼鏡、サイドテールの子供、縦ロールの仲間を紹介していく。残りのメンバーも、飛び降りてきて会釈する。

「私はアメリ。ごめんなさい、涙が止まらない」

 私は謝りながら自己紹介した。

「気にしなくていいよ。私たちは『カクテル』っていうアカペラグループを組んでるんだ」

「凄く楽しそうに歌うんだね」

 少し涙が収まってきた。

「だって楽しいもん! ね」

 ユキがメンバーに確認すると、一同も頷く。

「私も、そんな風に楽しく歌えるかな……」

「だいじょぶだいじょぶ、歌えるよ! レッツ・ポジティヴ・シンキン!」

 ユキがサムズアップする。何だろう、すごく親近感を覚える娘《こ》だ。

「ねえねえ、アメリお姉ちゃんは何で泣いてたの?」

 下から覗き込むようにクミが訊いてくる。実際、クミは背が小さい。

「クミ、そういうことは無闇に訊くものではありませんわ」

 ユカリが人差し指をちょいちょいと振ってクミを制する。

「そゆこと。深夜の公園で独り涙する乙女。ミステリアスよねえ」

 頬に手を当て、サツキがなにやらうっとりしている。変な猫だ。

「ね、家はどこなの?」

 人差し指を頬に当てて、ユキが訊いてくる。私は首を横に振って答える。

「ないの。世話になってたとこはあったんだけど、戻れなくなっちゃった……」

「訳アリか……。じゃあさ、私の家に来なよ」

 ユキの申し出はカンナを彷彿とさせた。そして、また涙が出てしまった。

「あーもー、ほら泣かないの。おいでよ、ね?」

 ユキが涙を拭ってくれる。

「ありがとう」

 そう応えるのが精いっぱいだった。私は自分が、元気が服を着て歩いているような猫だと思っていたけど、こんなにも脆いところがあるとは思っていなかった。

「じゃ、今日はここで解散~! お疲れ~!」

 ユキが号令をかけると、みんな口々に別れを告げ、去って行った。

「さ、行こうか」

 私はユキにぽんぽんと背中を叩かれ、手を引かれながらユキの家へと向かった。

 ユキの家は、煉瓦で覆われたマンションの一室だった。中に案内されると、ロフトとその下のベッドとキッチンが目に入った。ロフトの上には、段ボール箱がいっぱい置かれている。ベッドの上には、大きなパンダのぬいぐるみがあった。

「今、コーヒー淹れるね。あと、これから料理するから一緒に食べる? まあ、料理って言ってもランチョンミートサンドだけど」

 言われて、自分が空腹だったことを思い出す。私はこくりと頷いた。しばらく待っていると、コーヒーより先にランチョンミートサンドが出てきた。空腹が満たされると人心地つく。

「ありがとう。おいしかった」

「いやー、褒めるほどのことしてないよ。ただ、お肉パンに載せてはさんだだけだし。もうすぐお湯も沸くかな」

「独りで暮らしてるの?」

「うん。寂しいのはなかなか慣れないね。アメリが来てくれて嬉しいよ」

 ああ、こんなところまでカンナと同じだ。

「あのね、私、とても大事な人を傷つけちゃったんだ」

 思わず後悔が口をついて出た。

「ご主人様に捨てられて、行く当てのなくなった私を、こんな風に受け入れてくれた」

 ユキが黙ってコーヒーを出してくれる。私は、カンナに恋したこと、カンナへの気持ちから逃げて、ほったらかしにしていたこと、大会で九九点にほど遠かったこと、そしてカンナの歌について話して聞かせた。ユキは私の頭をぽんぽんとたたきながら、じっと聞いてくれた。話していて、また涙が出てきた。

「ほらほら、もう泣かないの」

「ねえ、ユキは私が気持ち悪くないの? 女が好きなんだよ?」

「別に。猫それぞれだなーってしか思わないかな、私は」

 ユキがハンカチで涙を拭いてくれる。子供になったみたいで恥ずかしかった。しかし、それ以上にユキの自然体が嬉しかった。こんな猫もいるんだ。

「ねえ、ユキたちはどうやって知り合ったの?」

「私たち? 私たちはね――」

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